2013年2月12日火曜日

「 大人の逆上がり 」


鉄棒、うんて、登り棒 が大好きだった。
逆上がりもラクショーで出来た。
大人になっても、それらは出来るものだと思っていた。


20代のいつの日か、
久しぶりに鉄棒とご対面をした。逆上がりに挑戦してみた。
得意だった逆上がりが、出来なくなっていた。
そこには、恐怖と肉体の衰えがあった。


地面を蹴り えいっ と身体を持ちあげることへの恐怖。
身体を浮かすことへの恐怖。ヘッピリ腰になっていた。

とにかく身体が重い。腕の力がなく伸びてしまう。
最後の踏ん張りでは、必要なところに力が入らず、強ばってしまう。


どうすれば出来るのかが分からない。こわい。


「逆上がりこわい」


そんな自分にがっかりし、落ち込んだ。





あれからだいぶ時間は経ち、先日また挑戦してみた。
出来なくなった自分を思い出す度に、落ち込んだ。
逆上がりがまた出来るようになりたいと思った。




身体へ「思い出せ!、思い出せ!」
と言いながら足を蹴り上げた。

 あともう少し…
 おしい!

 をくり返した。

 あともう少し…
 おしい!
 あともう少し…
 おしい!
 あともう少し…
 おしい!
 あともう少し…
 おしい!
 ふー ふー
 あともう少し…
 おしい!
 あともう少し…
 おしい!
 できた!


 今のはまぐれかもしれないからもう一度…


 エイッ

 できた!
 できた!できた!できたー!!



完全にはコツを思い出せていないけど、出来た。



逆上がりが出来た時の感動を、人生で2回も味わえるなんて。
いや、子供のときよりも、大人になってからの方が喜びは大きかった。


鉄棒に限らず、昔できたから、今もできる。
そうは限らないということを最近よく痛感する。

ずっとできるようでありたいなら、続けなくては。




次の日、ひどい筋肉痛になった。

うれしかった。






* * * * *

2 件のコメント: