2014年4月11日金曜日

「 歯磨き 」


最近歯医者へ通うようになった。

昨年も通っていたけど、一回予約した日を忘れすっぽかしてしまった。
それから長いこと時が経ってしまっていた。

すっぽかしたことに気づいたのは、予約日から数日のことだった。
謝罪の電話を入れようか迷ったけど、うやむやにして過ごしてしまった。

それがずっと心に引っかかっていて、
自分の中には二つ選択肢が出来ていた。


 一つは、別の歯医者へいく

 もう一つは、次行った時に先生に謝る


長い事、この選択肢の間を行ったり来たりしていた。



ある日、目視でも分かるくらい
虫歯が広がっていることに気がついた。

これはまずいと思った。
そして遂に選択の時が来た。




私はすっぽかした歯医者さんにもう一度予約を入れた。

久しぶりに会う先生に「その後いかがですか?」と聞かれた。
私は開口第一声「前回予約を忘れてすみませんでした…」と言った。
先生は「はい」とだけ言って、歯の症状を聞いてきた。
長い事悩んでいた塊は砕けばらばらになってどこかへ消えていった。



先生が、
次回歯のクリーニング(歯石取り)をするので
こうやって歯を磨いて下さいね。
と丁寧に歯の磨き方を教えてくれた。


その磨き方は、過去に何度か
どこかの歯医者さんで教えられたものだった。


いつもは適当に聞き流していたのに、
今回はちゃんと聞いている自分がいた。
予約をすっぽかした私。
それでも親切に教えてくれる先生。
感謝して真面目に話を聞いた。


先生は、もちろん仕事だから
ただ仕事をしているだけなのは分かっている。

それでも、私は嬉しかった。


次の治療まで一週間。
わたしは三食毎回、これまで届いていなかった
歯と歯茎の間に歯ブラシをあて、その痛痒さに喜びを感じている。



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