私は幼稚園児のころ
仲の良い友達と人んちの柿をとって食べていた
「あそこの柿は美味しいよ」
あちこちの柿をとって食べ比べていた
柿は洋服で磨いて皮ごと食べた
渋い部分はかじってペッと吐いた
柿を食べながら何を話していたか覚えている
「ずっと友達でいようね、おばあちゃんになっても、天国にいっても」
ある朝母がこう言った
「あんた、○○さんちの柿食べてんの?」
私はマズいと思った
そういえば○○さんちは姉の同級生の家だった
怒られると思った
母は続けてこう言った
「○○のおばちゃんがね、
今度はピンポンおしてからとってねって言ってたわよ」
怒られなかった
むしろ母は「今どき柿泥棒なんてめずらしいわね」と笑っていた
それから柿泥棒はやめた
友達も小学校に上がると同時に引っ越してしまった
大人になってわかったことは、
「ピンポン押してね」と言ってくれたおばちゃんの優しさと
子供の頃の友達と過ごす時間はとても短く儚いということ
渋柿は干し柿にするとどうして甘くなるのだろう
思い出も年と共に渋い記憶が甘くなった
* * * * *
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