2015年8月27日木曜日

「 薄れていく 」



思い出がどんどん遠くなる

あの時それしか頭になかったものが

それすらなんだったのかも思い出せない

見えるか見えないかくらいまで遠くなって

いいこともいやなことも薄れていく


小学生のころ

遊んだ帰り道に嗅いだ風

今でもあの時の気持ちを思い出す

今年も夏が終わったんだな


いつのまにか

自分を動かしていた情熱まで

薄れていた

暑い夏と一緒に

思い出になって

薄れていく


* * * * * *

2015年8月13日木曜日

「 父がぼけた 」


父は今月で72歳になった

糖尿を患っているけど
母の厳しい管理のおかげで
現在も元気に毎日を過ごしている


先日久しぶりに実家に帰り父と話をしていた

あれ? と感じたことは

同じ質問を何度もしていたことと
そして、前回わたしが家に帰ったことを
全く覚えていなかったこと



父がいないところで母に聞いてみた

「お父さんぼけた?」

母は、
「あれはぼけているわけじゃなくて、
 毎日孫の世話で忙しくしているから
 頭がごっちゃになっているのよ」と言う


確かに、平日は兄の二人の子供の面倒をみていて
毎日くたくたになるらしい




昼ご飯のときの
薬を飲もうとしている父と母の会話



母「今お昼よ」

父「あ、もうお昼だっけ」

間違えて朝の薬を飲みそうになっていた父



やっぱり父はぼけてきたのだと思った









年をとると、だんだん夜が眠れなくなるという
父に聞いてみた「お父さん、夜寝れる?」


父「もう、ぐっすりよ
  だって、何にも心配事がないんだもん」



現役の頃、いつも恐い顔をしていた父
何をしているときでも
仕事のことばかり考えていた

でもそれは、私たちを食べさせる為に
一生懸命お金を稼いでくれていた時の顔



でももう、父の顔はすっかり変わった
孫の世話をしている時の父の顔は
笑顔を通り越してしまうほどのいい顔をしている



だからいいかなと思った
「もう心配事がないんだもん」
そう言った父がその顔で残りの人生を過ごせるなら
それでいいんじゃないかなと思った


こうやって、親は年老いていくんだな

と身にしみながら帰路についた


* * * * *

2015年8月6日木曜日

「 どくだみ茶 」


昨日知り合いの方にどくだみをもらった



子供の頃、うちの冷蔵庫にあるお茶は
年がら年中どくだみ茶だった

ウーロン茶がある家の子が
かっこ良くてうらやましいと思っていた


今でも覚えている小学生の頃の遠足の日
ともだちと水筒の中身は何か?という話になった

うちはどくだみ茶だよ というと
飲ませて というので
美味しくないよ と飲ませると
草の味がする とひどい顔
だから言ったじゃない とわたし


このときが人生で一番
どくだみ茶を恨んだ瞬間だった




昨日もらったどくだみの葉で
さっそくお茶をつくった

沸騰したお湯にどくだみの葉を入れると
ふわっと懐かしい匂いが広がった

母がフライパンでどくだみを煎る姿が思い浮かんだ


どくだみ茶を飲みながら
どくだみの効能を携帯で調べていると

身体にいいのよ〜 

と言う母の声が聞こえてきた気がした




なんて懐かしい味なんだろう
今日が人生で一番
どくだみを美味しいと思った瞬間だった


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2015年8月3日月曜日

「 はらぺこあおむしのうた 」


子供の頃全く本を読まなかった私は
あの有名な“はらぺこあおむし”の絵本すら
読んだ事がなかった

今年の始め、三歳になる姪っ子に会った時
姪が、はらぺこあおむしのうたを
フルバージョンで歌ってくれた


このうたは、
ストーリーに合わせてメロディーが異なり
はじめは穏やかな歌だと聞いていると
だんだんテンポが良くなって
見せ場がちゃんとあり
クライマックスで感動できる



はらぺこあおむしのストーリーを知らなかった私は
姪のアカペラで歌われるこのお話が
一体どうなっちゃっているのかが分からなかった
メロディが切り替わる度に姪の小休止が入り
まだ続くのかッ いつ終わりがくるのかッ と内心そわそわしてしまった

でも、歌う姿は可愛くて、目が離せなくて
このうたが頭から離れなかった





げっつようび げっつようび ♪

りんごをひとつ たべました〜



かよおーび かよおーび ♪

なーしをふたつ たべました〜


すっいようび すっいようび ♪

すももをみっつ たべました〜



それで〜も あおむしは

おなかが ぺっこぺこ〜 ♪






最近YouTubeでこのうたを聞いている

そしてわたしも“土曜日”まで口ずさめるようになった





来週、久方ぶりに姪に会う

またはらぺこあおむしを歌ってもらおう

楽しみだ







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