2016年5月28日土曜日

「 泣くと言うより叫んでいた 」


時々ふと思い出している

子供の頃
どうしてあんなに泣いたのだろう
という日のことを


私はまだ小学校に入る前だったと思う
いつから自分に物心がついたのかは覚えていないけど
その記憶は残っている

その日は父と母がどこかのテレビ局で
おもしろ夫婦として出演する日だった
家族六人、父の運転でテレビ局へ向かい
収録中は見学することができた

私たちきょうだいは離れたところから見学が出来たのだけど
父と母が離れてすぐに私は火が付いたように泣きだした
親がいなくて泣くような年齢ではなかったと思うのだけど


覚えていることは
私自身、どうして泣いているのか分からなかったこと
そして父と母が戻るまで私は泣き叫び続けた



帰りの車中で、父が笑った顔で私に言った
「恥ずかしいよ、あんなに泣いて」と
わたしもどうしてあんなに泣いたのか不思議だった
そして恥ずかしくなった


今思い出すことは、
あれは泣いていたのではなく叫んでいたということを
わたしはどうしてか分からないけど
父と母に聞こえるように泣き叫んでいた
周りはみんな迷惑だったに違いない



これまでの人生で泣いた思い出はたくさんある
わたしはたくさん泣いて生きてきた

でも泣き叫んだ記憶はこの一回だけなのではないかと思う


あと何回
こんなに泣き叫ぶことがあるのだろう
こころがどうしようもなくなることが
またあるのだろうか、ないのであろうか

























* * * * *

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